魔法の理屈



魔法の分類.4〜パワーソース〜

 魔法の分類方法もとうとう後1つになりました。 今回は最後に相応しく、魔法の存在自体に関わる分類方法です。

パワーソース(魔法の根源)による分類

 魔法とは、現実の物理法則に当てはまらない 別の法則にしたがって起こる現象である、と以前述べました。
 しかし、物理法則の考えから完全に抜け出す事は難しい様で、 何かが起こっている以上は、 そこに特殊なエネルギーの流れがあると考えた方が自然であると思ってしまいます。 多くの場合、このエネルギーの種類が「別の法則」として位置付けられています。

 今回はこのエネルギーの源、パワーソースによる分類を試みます。

魔力物質

 魔力物質とは、空間上に存在する魔力そのものと言えるエネルギーを指し、 その存在は厳密に物質である必要はありません。
 術者はその魔力物質を操る事で魔法を発生させます。

 魔力物質の例を挙げるなら、ポピュラーなところで マナエーテルがあります。
 マナとは元々、ヘブライ系の神話(ユダヤ,キリスト教)に在る天使の食べ物でしたが、 ファンタジー世界では魔法の媒体、 または風,火,水,土の四大元素を超える5番目の要素として登場する事が多いです。

 そしてエーテルですが、 これは一種の有機化合物の総称であるエーテルではなく、 光を伝える為の媒体として想像されていた物質に近いものです。
 また、世界の全ての存在が物質であるマテリアル体, 精神であるアストラル体, エネルギーであるエーテル体の 3要素から成るとされる世界観もあります。
この辺りは様々な形態があるので正確に理解しきれていませんし、ここでは説明しきれません。

 魔力物質をどのように操るのかは様々ですが、 一般的には次の項目の精神力を併用したものがよく見受けられます。
 ほかにも、後半挙げたエーテル体の様に、身体組成に魔力物質が組み込まれており、 それと外部の魔力物質の反応を利用するといったものも考えられます。

精神力

 術者の意思力,精神力を指し、生成要素による分類での「思念」と同等の考え方です。
 精神力が先ほど挙げた魔力物質と同等の働きをします。

 要素別分類で、「超能力と魔法を別物として考えても良い」とわざわざ述べたのは このことが関連します。
 というのも、先程のアストラル体,エーテル体の様に、 精神力と魔力は別物と考える事があるからです。
 ですから、超能力と魔法が結びつかないと思うのならば、 「別物として考えても良い」と思います。

高位の存在

 神や魔王など、自分よりも高位の存在のもつ力です。
 魔法を使う際にこれらの存在にアクセスし、力を借りるのです。

 また、力を借りるだけではなく、 直接高位の存在,あるいはその存在の力の一部を呼び出して代行してもらう事もあります。 これが召喚です。
 高位の存在を召喚し力を借りるには、術者の高い能力が必要とされます。 さらに、その存在と契約を結んでいなければならない場合が殆どです。

 契約とは魔力や祈り,魂などと引き換えに力を借りる,受けるという取り決めを交わす事で、 高位の存在とだけの関係ではありません。 むしろ宗教でもない限り、そのような存在と契約を交わすのは難しいでしょう。

下位の存在

 高位の存在と個人的に契約を交わすのは、非常に難しいです。 そのため、自分より下位の存在の力を利用する事も少なくありません。

 ある程度力のある存在に対し、下位の存在として契約を結ぶには、 その存在よりも力があると証明しなければなりません。
 そのため対象が同じ場合は、 自分より高位の存在として契約する方が易しいでしょう。

 では、わざわざ下位の存在として契約するメリットはあるのでしょうか?
 前に書きましたが、高位の存在が全ての力を貸してくれる事は殆どありません。 下位の存在(=術者)の為に全力を尽くすなど高位の存在のする事ではない、と 考えても不思議は無いでしょう。
 しかし、下位の存在として従える事で (能力次第で)全ての力を引き出すことが出来るのです。
 この様な契約を結んだ対象は、自分の臣下のような存在なのです。 従って、呼び出して力を借りる時も、高位の存在より融通が利きます。
 下位の存在を呼び出す事を、召喚と区別して 喚起と呼ぶ事もあります。

精霊

 精霊といっても、有名なRPGに登場する精霊とは趣が違うかも知れません。
と言うのも、それ自体が意志をもっている存在ではなく、 力(≒属性)の象徴として存在する者を指しているからです。

 精霊の力を利用する感覚は魔法物質と似ています。 ただ、使用する魔法によって力の根源が変わるという点、 術者と魔法の相性が魔法物質よりも大きく関わる点など、 高位,下位存在に近い要素もあります。

 数回にわたって魔法の分類方法を見てきましたが、いかがでしたでしょうか? この様に分類する事で、魔法を説得力のあるものにできるかも知れません。

 場合によっては、魔法を登場させても 舞台上でその理屈をくどくど述べない方が良い事もあるでしょう。
 特にファンタジーはよくわからない不思議な出来事が起こる世界であり、 例え空想上の原理だとしても、それが解明されているのでは ファンタジーの魅力がなくなってしまう、 そう考える人もいます。

 ただし、魔法をどう生かすのか、魔法に何を求めるのか、それは自由なのです。
 貴方にとって魔法とは、一体どのような存在ですか?